Nerve
間接覆髄

ドックベストセメント 3Mix
  • TOP
  • 間接覆髄

深い虫歯でも、神経を抜かないで済む可能性があります。
覆髄(神経を残す治療)の時には、下記の様な薬を使います。
水酸化カルシウム製剤、タンニンフッ化物配合カルボキシレートセメントによる歯髄温存療法で、菌が減り、軟化象牙質が硬化することが示されています。
  • 01
  • ドックベストセメント
上の写真は、ドックベストセメントです。
「虫歯を治すセメント」。深い虫歯を神経を取らずに治そうというセメントです。
虫歯がすごく大きいのだけれど神経を残したいという時に使えると言われています。

一度の適用でよいそうですが、
当院は、2回法で行っております。
2回目にリエントリーと言って、半年から1年後に再度う窩にアクセスして、残置した軟化象牙質のうち硬化してない物を除去するという方法です。
この方がより安心だと思いませんか。
同じ神経の保存療法には使える薬は、他にも数種あります。
当院では、ほぼ網羅するよう用意してあります。
  • 02
  • 3Mix(スリーミックス)
3Mix法とは、3種類の抗生物質を使い、歯の神経を守ろうとする虫歯治療法です。
正式には病巣無菌化組織再生療法と言い、軟化象牙質の多く、さらに感染歯髄も保存の可能性があるとの事です。

3Mixの抗生物質

以下の3種類の抗生物質を使います。
メトロニダゾール(フラジール内服薬)
セファクロール(ケフラールカプセル)
シプロフロキサシン(シプロキサン錠)
メトロニダゾールは、う窩の細菌の大部分を占める偏性嫌気性菌に有効であるため用います。
セファクロール、シプロフロキサシンは、同時に存在する通性嫌気性菌に対する抗菌作用を期待するものです。
この3種を混合したという意味が、スリーミックスです。

スリーミックスも窩洞形成は必要

スリーミックスも、窩洞形成(削る)は必要です。
溶けた様に著しく崩壊したう蝕象牙質の除去は当たり前です。
また、窩洞を厳密に封鎖する必要から、辺縁に健康なエナメル質や象牙質を得るための窩洞形成は必要です。

3Mixの問題

この3種混合剤は正式な認可はないので、自己責任で行う必要があります。
また、抗生物質を購入し手作業で錠剤から抗生物質成分を取り出したり、所定の比率で混合する等、とても煩雑です。
特にご希望の場合のみ、3Mix法を行うという事にさせて下さい。
以下は、学会公認の神経を残す治療法です。
  • 03
  • 神経を守る、学会公認の治療法

一般的な間接覆髄

大きな虫歯の治療の際、硬さだけを基準に、軟らかいう蝕象牙質を全部除去すると、歯の神経(歯髄)が露出してしまう事があります。
そうなると、歯の神経を取る(抜髄)必要があるため、抜髄をさける必要があります。
神経に接触するう蝕象牙質をわざと残した上に薬剤を作用させ、生きた歯髄を守り、歯の寿命を長くしようとするのが、間接覆髄です。
よくある銀歯ですが、この下に大きな虫歯があるのです。
銀歯を外したところ。中が汚れています。
ここに深い虫歯があります。
虫歯を除去します。歯髄側の虫歯はある程度残します。
暫間的間接覆髄の薬剤を置いた所。
元の銀歯を仮付けします。これで数ヶ月待つのです。
  • 04
  • 学会のガイドライン
日本歯科保存学会2009によるう蝕治療ガイドラインから。
間接覆髄を行うことによって、う蝕関連細菌は減少し、う蝕象牙質が硬化する。
用いる薬剤は、水酸化カルシウム製剤あるいはタンニン・フッ化物合剤配合カルボキシレートセメント。
3-12か月でう蝕の硬化が認められるため、3か月経過後にリエントリーし、残した感染象牙質を除去する。

方法

暫間的方法は、歯髄に近いう蝕象牙質表面に、間接覆髄用薬剤を塗り、一旦う窩を閉鎖します。
3ヶ月から半年後、残したう蝕象牙質が硬化している可能性があり、また、歯髄側の象牙質では第2象牙質が形成され、う蝕と歯髄はハッキリと硬組織で隔てられた状態になります。
第2象牙質の形成をレントゲンで確認し、再度う窩を開け、残ったう蝕象牙質があれば除去、最終充填を行うというものです。
  • 05
  • 歯髄を守りたいわけ
手間がかかってもいいから、間接覆髄したいその訳は、
歯髄を取った歯は、割れたり、ヒビが入ったり、歯がもろくなり、早く抜歯につながりやすいからです。
この方法ですと、歯髄を傷つけずに、残ったう蝕象牙質を安心して除去できるので、数ヶ月かかるけど、上記の状態を作り出したいというわけです。
  • 06
  • その他の薬剤
ドックベストセメント、スリーミックス、MTAセメント、Super EBAセメント、水酸化カルシウム製剤(硬化するもの)、テンポラリーセメントなど、第2象牙質形成を誘導する薬剤です。

MTAセメント

日本では、セラカルLCやNEX MTAセメントという製品があります。
露髄時に、歯髄が菌に感染していなければ、覆髄として歯髄を保護できるというものです。
MTAは、とても有用な薬剤ですが、1セット数万円するとても高価な薬剤でもあります。

テンポラリーセメント

本来は仮歯の仮着材ですが、間接覆髄に効果ある薬剤として学会のガイドラインに記載されています。